『海からの贈りもの』 
アン・モロウ・リンドバーグ 落合恵子訳 立風書房

「海からの贈りもの」の著者は有名な飛行士チャールズ・リンドバーグの
奥さまです。この本には、彼女がたった一人で海辺の家ですごした数週間に
感じたことが書かれています。

昨年の海辺の環境教育フォーラムでは「人は何故、海を見るとほっと
するのか」「例えば、失恋すると何故海を見に行くのか」ということを、
追求してみよう!という話が出ていました。
この本を読むと、ちょっとだけその気持ちがわかるかもしれません。

著者はこの本の中で、海辺は自分自身と出会う場であることを
暗に語っています。海辺で生活するその時間が、自分自身との
対面であり、そして、忘れていた自分を取り戻す時間であると
感じています。
彼女は海辺で一人ですごす時間の中で、自分の家族、自分、
そして女性の生き方について考えます。

思えば私が海辺に行く理由も彼女と同じかもしれません。
「ほっ」とする時間の中で、自分が求めているものは
何かをもう一度整理する。都会のぱたぱたした時間と空間からは
決して得ることのできない、自分との対面を求めているのかも
しれません。

満月の夜、一人で海辺を歩いていると、不思議になつかしい
気持ちに触れ、一瞬涙が出そうになることがあります。
何かが自分の気持ちの中にあふれ、何かを思いださせようと
します。もしかすると、原始、自分がまだ海の生物だった頃の
記憶なのでしょうか?

海辺は、自分をひとつの生き物に戻してしまう。
そんな力があるのかもしれません。
海辺でほっとしたい方に、是非、おすすめの一冊です。

柳田亜樹

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