『海辺』レイチェルカールソン著、上遠恵子訳、平河出版社

 私が初めにレイチェルカーソンの名前を知ったのは、「沈黙の春」の作者として農薬の危険性を警告したということでした。次いで、「センスオブワンダー」で環境教育の先駆けとしてのカーソンを知りました。
 「海辺」(及びその訳者あとがき)を読んで、実際は海洋生物学者であり、アメリカ内務省、漁業・野生生物局での出版物の企画、編集、執筆をなりわいとしてたことを知りました。また、カーソンの特質は生物学者の目と詩人の感性を持ち合わせたことにあると感じました。(さらに、地質学的時間の観念までをも持ち合わせているところがすごい。)
 この本の中でカーソンは海と陸の出会う場所を海辺と呼んでいるようです。(日本語では渚という言葉が適当かもしれません)。素晴らしい挿し絵と相まって、読者を、ミクロ探検隊になって、海辺の多様な生物の中を探検している気分にさせてくれます。プログラムのヒントも満載です。
 序章:海辺の世界、第1章:海辺の生き物たち、第2章:岩礁海岸、第3章:砂浜、第4章:サンゴ礁海岸、終章:永遠なる海、という構成で成り立っていて、私は、第2章を読みながら、南伊豆町の岩礁海岸を、第3章を読みながら、伊豆海洋公園、大瀬崎、黄金崎の砂場を、第4章では八重山のサンゴ礁を思い起こします。そして、この日本の海の素晴らしさを、カーソンのように詩人の感性を持って多くの人々(特に子供たち)に伝えられたらと思うのです。
 対象がアメリカ西海岸であり、ちょっと難しい部分があるので、全部を通して読むのはすこし大変です。私は、気ままに開いたページを読んだりしていますが、そのたびに、海岸に行って生物の観察をしたくなります。そして、私は、現在幸いにも、思い立ったらすぐにでも海に行ける環境にあります。
 ちょっと、海辺に行ってきますね。
(高橋啓介:環境省石垣自然保護官事務所)
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