リレーコラム/その1『インタープリターズフォーラム2018』に向けて

6月に清里で開催を予定している『インタープリターズフォーラム2018』に向けて、展望を語るリレーコラムの第一回目です。

インタープリターの集まりを何故やりたいのか?


古瀬浩史 帝京科学大学/日本インタープリテーション協会代表理事

■「インタープリテーション」はめちゃくちゃ幅が広い
私はインタープリテーションの現場で長く仕事をして来たので、これまで「インタープリテーションとは何か?」という説明する機会が頻繁にありました。でも、いまだにその説明には少々苦労します。皆さんはいかがでしょう? インタープリテーションは教育でもありますが、同時にエンターテイメントでもあります。伝える「技術」とも言える一方で「概念」を示しています。理科要素も人文要素も含んでいます。専門性のあるプロの活動でもあり、ボランティア活動でもあります。「環境教育」でもあるし、別の視点では「公園管理の手法」でもあります。こうやってみていくと、きわめて幅広く、ある意味は曖昧で、説明がむつかしい分野だと言うこともできそうです。
インタープリターがたくさん集まりそうな既存の機会としては、「つなぐ人フォーラム」や、日本環境教育フォーラムが主催する「清里ミーティング」があります。これらは非常に有益な機会ですけれども、「インタープリテーション」に関することがたくさん議論されているかと言うと、そうでもないと思います。研究分野ではインタープリテーションに関する研究発表は環境教育学会や造園学会などに時々みられますけれども、それほど件数は多くありませんし、これらの学会に参加してもインタープリターはとっても少数派です。つまり、インタープリターが、インタープリテーションについて心ゆくまで語り合う交流の機会はそれほど多くないのが現状だろうと思います。

■インタープリターは孤立している(ことが多い)?
インタープリテーションの仕事の現場を見ると、小さな拠点(ビジターセンターや事業所)が多く、活動も外に出る事が多いため、インタープリテーションについて相談したり意見を交換する機会はあまり多くない状況があるのではないでしょうか。自然が好きなインタープリターは、人里離れた拠点で少人数で仕事することを、それほど苦にしていないかもしれませんが、モチベーションの維持や、技術の向上のためには、時に似た活動を行っている人との交流や、新しい情報の共有が必要なように思います。(離島での活動経験からゼッタイそう思うな・・)

■インタープリターはどこで学べばよいのか
日本インタープリテーション協会では、インタープリテーションの先進地であるアメリカの国立公園へのスタディツアーを定期的に行っていますが、行くたびに驚かされるのは、アメリカの公園のインタープリテーションがいつも新しいチャレンジをしていて、同じところに留まっていないことです。米国がなんでも優れているなどとは思っていないのですが、いつ行っても変化があり、新たな学びがあります。おそらく、研究、実践、検証、共有・・といったことが機能しているのだろうと思います。
日本でインタープリテーションを学ぼうとする時に、民間団体や環境省などが主催する集合研修が一つの手段として考えられます。これらの多くは入門的な研修であり、継続教育に関しては、組織内のOJTや自己研修だけに頼っている感があります。
インタープリターの向上のためには、新しい情報得たり、自分の取り組みを発表したり、交流する機会が、やはり必要なように思います。

■「研究」的な視点
私は、長らくビジターセンターなどの現場に勤めた後に、大学に職を得ました。今、改めて思うのは、現場のインタープリターは、もっと「研究」的な視点を持って活動したらよいのではないかということです。一般的な現状としてはルーチンワークや優先度の高い直近の仕事に追われることが多いのだろうと思います。でも、ちょっとでも研究的な視点を持って、記録を残して評価したり、自分の活動を分析したり、資源について調べたりすれば、それは他の人にとっても価値があり、確実にこの分野の向上につながっていくのだろうと思います。そこで、今回のフォーラムは、「交流」に加えて「研究」を掲げてみました。ただ、それはプロの研究者が行う研究のための研究ではなく、新しいチャレンジを一般化してみたり、新しい視点を示してディスカッションしたり、といったインタープリテーションの向上のための実践的な研究だと思います。研究というと、二の足を踏む人もいるかもしれませんが、現場のインタープリターが気軽に成果を発表できるプラットフォームを創ってみたいと思っています。チャンスあれば、僕の研究室の学生にも発表させたいなあと。もちろん、まずはそれらを聞きに来るだけでもOKです。

さて、今回のフォーラムに向けての思いを書いたので、少し堅い話になってしまいました。そろそろバトンを次の人に渡そうと思います。次回のコラムは、アメリカの国立公園でインタープリターとしての活動経験があり、だれよりもアメリカのインタープリテーションを知る事情通・・。かつ婚活ファシリテーターとしても活躍する増田由香子さんです!


インタープリターズ・フォーラム2018について

■インタープリターズ・フォーラム申し込みサイト